にゃむこのメモ帳

読了本の感想を中心に、その他もろもろ。たまには猫のミルクさんも登場するよ。

タグ:三浦しをん

風が強く吹いている (新潮文庫)
三浦 しをん
新潮社
2009-06-27


実は、去年の箱根駅伝時に読むつもりで一昨年の師走に購入したが
読み始める機を逸し、そのまま丸一年、積読状態。

満を持して今年の箱根駅伝に合わせて読み始めた。

長らく積読状態にしていたことが何とも悔やまれる。
これはスゴイ。

もう理屈抜きで寛政大の10人を応援していた。

本番の往路復路の部分は、読んでるこちらも無意識のうちにトップスピード。
日課である読書しながらのエアロバイク漕ぎ、500kcal消費に(自分比)
通常70分前後のところ、アオタケの10人に伴走してもらったら何と
55分で漕ぎ終わったww 

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画像1 今年の箱根駅伝、復路8区を
現地観戦。

全校分がなくて残念ですが、一人で、
集団で駆け抜けるランナーたち。






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実際問題として、1年足らずのトレーニングで予選会から本戦入賞までの
トントン拍子はありえないのは百も承知ですが、作品を全否定するような
野暮なことは言わないで、極上の青春小説を楽しみましょう。

早くも今年度の年間ランキング上位当確だ。

まほろ駅前番外地 (文春文庫)まほろ駅前番外地 (文春文庫) [文庫]
著者:三浦 しをん
出版:文藝春秋
(2012-10-10)

内容(「BOOK」データベースより)

東京都南西部最大の町・まほろ市の駅前で便利屋を営む多田と、高校時代の同級生・行天。

汚部屋清掃、老人の見舞い、庭掃除に遺品整理、子守も料理も承ります―。

多田・行天の物語とともに、前作でお馴染みの星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が主人公となるスピンアウトストーリー七編を収録。

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多田と行天は脇役に廻り、前作で多田便利軒が携わった依頼人たちにスポットを当てた後日談。

どれも良かったが、特に曽根田のばあちゃんが若き日の「ろまんす」を語った『思い出の銀幕』がお気に入り。
<一生、あの気持ちを知らずに過ごすひともいるだろうが、私は知ってよかったと思ってるよ>
と言うばあちゃんの言葉が染みる。

今回チョイ役だったルルとハイシーのエピソードも読んでみたかった。

今秋にシリーズ完結編『まほろ駅前狂騒曲』が発売されるそうなので大変楽しみ。



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内容(「BOOK」データベースより)

まほろ市は東京のはずれに位置する都南西部最大の町。

駅前で便利屋を営む多田啓介のもとに高校時代の同級生・行天春彦がころがりこんだ。

ペットあずかりに塾の送迎、納屋の整理etc.―ありふれた依頼のはずがこのコンビにかかると何故かきな臭い状況に。

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『―番外地』を読むために、新刊扱いの時に読了したのを改めて再読。

行天の過去に対して負い目を感じている多田、一方それを特に気にせず飄々と生きる行天、高校卒業以来二人の間で止まっていた「時」が久々の再会をきっかけにゆっくりと動き出した感じ。

再会までにお互いがそれぞれの人生で経験した色々をベースに、便利屋として一緒に働くことで一匹狼同士が互いに歩み寄っていく、けれど適度な距離を保ってべったり馴れ合いのもたれかかりがない感じがいい。



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玄武書房に勤める馬締(まじめ)光也。
営業部では変人扱いも、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、新しい辞書『大渡海』を編む仲間として辞書編集部に迎えられる。

定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。
個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。

言葉という絆の下、彼らの人生が優しく編み上げられていく―。
しかし、問題が山積みの辞書編集部。
果たして『大渡海』は完成するのか―。

「2012年 本屋大賞」受賞作。



【読後感】
ひとつの辞書を編纂するというのは、実に膨大な時間を要する一大プロジェクトだ、というのは分かったのですが・・・。
見出し語の選定、その説明と用例、本頁に使う紙の質感へのこだわり。
これらはそのまま、かつてのNHK『プロジェクトX』で取り上げられ得る題材。

そういう「硬派な」題材だけに、登場人物のキャラ立ちを総じて軽めに色付けしているのは、作品全体の質を下げ兼ねない不安要素です。
サクサク読めるけれど作品に厚みがない、というか、登場人物に感情移入できにくい、というか。
登場人物の言動は予定調和で、扱っている内容とは裏腹に、どこか漫画的・ライトノベル的な感が否めない。

物語後半の後半、辞書の完成までが多少駆け足気味だったのも気になるところでした。

本書の装丁が、『大渡海』のそれを模しているところは粋な演出(?)で良かったです。


【オススメ度】 ★★★☆☆
同じ三浦しをんさんならば、『まほろ駅前多田便利軒』(と『まほろ駅前番外地』)の方がオススメかな。
『まほろ駅前―』の方は、第135回直木賞受賞作です。
また、瑛太と松田龍平のW主演で映画化もされています。

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