にゃむこのメモ帳

読了本の感想を中心に、その他もろもろ。たまには猫のミルクさんも登場するよ。

タグ:角田光代


『八日目の蝉』を読んで以来、二作目の角田作品。
共通項は『八日目の―』の希和子と本作の梨花、それぞれが抱く<焦燥感>とそれから逃れたいと
願う<刹那的な生き方>のクローズアップ。

自分の存在価値を確かめたい焦燥感を抱いた梨花の、最初はわずか5万円から最後は「かたまり」
になった「お金」を自分が動かせると錯覚するほど歯止めの効かなくなった万能感を抱くまでの心情
や行動が、冷や冷やさせる。

ラストはこれまた『八日目の―』と同様、読者に主人公の「その後」を想像させる灰色決着。
読んだ人の数だけ、梨花の「その後」の生き様がある。



そろそろ、映画のDVDがTSUTAYAの店頭に並んでいるみたいなので、借りてこよう。
劇場で観たかったんだけど、行く機会がなかったんだよね。
宮沢りえがどんな梨花を演じてるのか気になるなぁ。



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内容(「BOOK」データベースより)

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。
東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。
偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。
心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。
第二回中央公論文芸賞受賞作。


【レビュー】
前半(第1章)はスピード感と焦燥感溢れる、誘拐犯が被害者(子)との刹那的な幸せを求めた逃避行、後半(第2章)は一転鈍重とした雰囲気で、しかし淡々と大学生となった被害者の事件後から現在までの葛藤と裁判を通した客観的な事件の真相が展開される。

前半は逃避行の行方が気になり、後半は事件の真相が知りたくてページを繰る手が止まらない。

「八日目の蝉」とはそういう意味だったのか。

ラストは主人公たちの「その後」を読者に想像させる終わり方。
続編はないと分かっていても、続きが気になる。


余談だが、誘拐された子の本名が、私の初恋の相手と同じ名前だった(笑)


【オススメ度】★★★★★ 我々もまた、八日目の先を生きている。


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